*****はしっきれの手紙*****
いつものようにツナを送った獄寺は、自宅へまっすぐ帰りいつものように山本を迎える準備をした。
シャワーから上がるとテーブルの上においておいた携帯がメール受信のサインを点滅させていた。
(山本・・?)
メールなどめったに送らず、何かあればすぐに電話がかかってくるか直接とんでくるのに、となにか緊急なことを想像して気が急いた。
俺、今日は帰るな、ごめん。
たった一行それだけだった。
今日の昼休みからといい、このメールといい、獄寺は武の行動が気になって仕方がなかった。
携帯の向こうから聞こえる呼び出し音。何回かのコールのあと、留守録に変わるところで山本が出た。
「てめー、何のつもりだ」
「ごめんな、ちょっと今日は部活で泥だらけになっちまってな・・・」
そんなことはいつものことで、それでも獄寺の家に上がりこんでいたのが山本だった。
文句を言いつつも、結局片付けて上がらせてやっていたのが獄寺で。
「今日に限って何遠慮してんだよ。ガラじゃねーだろ。」
「・・・そんなに俺に来て欲しいわけ?」
「は?」
携帯の向こうから聞こえる武の声はとても低く重かった。
「俺がいねーとさびしくてたまんねーんだ?カラダ、落ちつかねーんだ?」<>br
「ばっかじゃねーの?!何言ってやがんだ!」
「んなことなら自分でヌいとけばいーだろ。じゃな。」
獄寺の制止もむなしく、そのまま電話は切れてしまった。
電話の終わり方が終わり方なので再びかけなおす気にもなれず、獄寺は携帯を床に叩き付けた。
(俺が何したってんだよ?)
獄寺の誕生日が翌日に迫った月曜日。
先週あんな電話でのやりとりがあってから山本に距離をおかれるようになってしまって、獄寺はいらついていた。
「獄寺くん、あのさ・・・」
それでもツナを送り迎えすることと常にそばに控えることは忘れず、そうすると必然的に山本とも顔を合わすことになるのだが、それは山本の方からあまりかかわりを持とうとしてこなかった。
「明日って時間あるかな?」
「明日・・ですか?」
山本が自分の誕生日を祝ってくれると言っていた日だがこのところもああだし尊敬する10代目の頼みであれば、と心構えをした。
「俺んちでさ、獄寺くんのお誕生日お祝いしたいんだけど・・」
それまでの暗い気持ちがツナの一言で晴れ間が差す獄寺。
「じゅ・・じゅうだいめぇ・・・・!俺なんかのためにっ!!」
「あっ、そんな、泣かないでよ獄寺くん!」
ツナが自分のためにそんなことを考えていてくれたのかと思うと、右腕として、ファミリーとしてこの上ない喜びだった。
「明日さ、学校終わってから京子ちゃんやハルもきてくれるみたいだし、ね」
「俺十代目がいてくだされば誰もいらないッス!」
それに、とつけくわえるツナ。
「山本もくるからさ!」
「あいつ・・・」
このところの二人の不和を気にしていたツナはそれとなく気をつかってみた。
「夕飯俺んちでたべてくつもりでさ、どうかな?夜遅くにはならないから!」
それはすなわち、夜は武とすごす予定があるんだろうというツナなりの解釈で気遣いだった。
「べ・・別に俺ずっとあいてますから。・・なんなら将来のボンゴレファミリーについて語り合いましょうか!」
無理した笑顔だというのもツナには見えみえだった。
獄寺の提案をはぐらかして、翌日の獄寺の誕生パーティーの約束を取り付けたあとツナは自宅の門をくぐった。
ツナを送ったあと、先週までならまっすぐ帰っていたところだが、適当に時間をつぶしてから帰るようになっていた。
すると偶然通りかかったコンビニの前で帰宅途中の山本を見つけた。
「おい」
声に気づいた武は苦笑いを浮かべる。
「明日10代目が俺の誕生日を祝ってくださるそうだ」
「そーか、よかったじゃねーか」
「お前もくるんだってな」
「・・・まーな。楽しみにしてろよ」
つかみかかった獄寺の手をそっとはずすとそのまま去ろうとした。
「おい」
「まだなんか用か?」
「他に言うことねーのかよ」
・・・山本が言ってた誕生祝はどこへ行った?
「じゃ、また明日な」
質問の答えにもならないことを言い残して立ち去る武。
わけがわからないままの獄寺。とはいえ、せっかくのツナの企画してくれたことなので行かないわけにも行かず、釈然としないままで当日を迎えることになる。
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