*****はしっきれの手紙*****
そして迎えた9月9日。
放課後ツナは準備をするからと獄寺をおいて先に帰っていくと言った。
教室をでるときには、たまたま会った京子とこれからのパーティーの話をしながらとても嬉しそうに照れるツナを見て、なぜだか山本のこと思い出している自分に気づいた。
(あいつなんかこなきゃいいのによ・・)
あの電話での言い草とそれからの獄寺といるときだけの不自然なあの態度、そして昨日のことががずっと胸にもやもやとしたまま、せっかくのツナの言い出してくれたパーティーにも正直喜びきれないようになっていた。
人もまばらになった教室で、のびをするふりをして山本がいないかと教室と窓から見えるグランドを眺めてみた。
部活動をする生徒たちの声。
野球部員たちがランニングをする姿が見えたがそこに山本の姿はなかった。
まさか自分のために部活まで休んだのかと少し浮かれてしまった自分に気づいて、立ち上がりながら獄寺は軽く机を蹴飛ばす。
校舎を出てグランドを抜けるときにもう一度野球部の集団を探してみたが、そこにはもうおらず離れた専用のグランドまで移動してしまっていたようだった。
ツナのいない帰り道というのはとても久しぶりで、一人で歩く道のりの長さを感じた。
とはいえ今日はこのあとのこともあるし、と指定された時間までにツナの家に行くべく段取りを考えていた。
何かできることはないかと聞く自分にツナは何も準備してこなくていいと言っていた。
主役なのだから、楽しんでくれたらそれでいいんだとまで言ってくれていた。
ツナの役に立てないのももどかしいが、そういうツナの好意を無駄にしてもいけないので言葉通り、時間に間に合うように行くことにした。
自室につくと新聞差込口になにかささっているのが見えた。
小さな紙切れのようだったが、いつものようにはいっているポスティングチラシだろうと思って無視して開錠し、ドアをあける。
時間通りにツナの家を尋ねると、奈々が獄寺を快く迎えた。
「いらっしゃい、獄寺くん。楽しんでいってね」
やさしく微笑みながら、獄寺をリビングへ通した。
部屋へ入ると同時に大きなクラッカーがなる。
「獄寺くん、お誕生日おめでとう!!」
多少の言葉の違いはあるものの、その場にいる全員からそういわれた。
「きてくれてありがとね、こっち、座ってくれるかな?」
そこにいるはずの人が見当たらないことに表情が一瞬曇ったのをツナは見逃していなかった。
「山本はさ、部活早退してきてくれるって言ってたんだけどね、ちょっと遅くなっちゃうみたいなんだ」
「べ・・べつにいいんですよ、あんなヤツ。どーせきたってロクなことしやしねーんですから!」
その言葉に勢いよくハルが突っかかる。
「獄寺さん!なんですかその言い方は!山本さんに失礼です!」
「んだよアホ女!」
ハルのいつもどおりの行動にツナはちょっと助けられたような形になった。
ハルも京子も、もちろん獄寺と山本の不和を知らない。
ツナはそこから離れて奈々が呼ぶキッチンの方へさらにつくりだされる料理を運びにいった。
(山本のヤツ、嘘なんかつきやがって・・何してやがるんだ)
野球部にいなかったのは知っている。そして、期待が裏切られたような気分になって、突っかかるハルにいつも以上にあたってしまった。
「もう!獄寺さんにハッピーバースデーの歌なんか歌ってあげませんからね!」
「んなもん、いるか!とっととうせやがれ!」
二人のやり取りをハルの隣で笑ってみていた京子はツナが奈々の手伝いをするのを見て、自分もとそちらへ行った。
「あれれ、今日は何の日?ランボさんのごちそうの日??」
獄寺の誕生日を祝うということは伝えていたけれど覚えているはずもないランボと、間違いを指摘しながら追いかけるイーピンがやってきた。
そして獄寺とハルがやりあうリビングへと乱入する。
「なぁにしやがるアホ牛!!!」
「そこにいるのがいけないんだもんね〜!!」
「こら、ランボ!!今日は獄寺くんの誕生日だっていっただろ!!」
大騒ぎのなか、チャイムの音がする。
奈々が返事をしながらでると、リビングへと案内してきた。
「山本くんがきてくれたわよ」
「わりぃ、遅くなっちまった!」
そしてその手には大きな船盛とすし桶が抱えられていた。
「これ、オヤジがもってけってさ」
リビングのテーブルにはすでに奈々の料理でいっぱいになっていたが、奈々がスペースをあけそこに並べる。
「獄寺の祝いだって言ったらオヤジがはりきっちゃってな」
周りに向けるいつもどおりの笑顔に獄寺は余計に腹が立った。
(部活サボってなにしてやがったんだ)
ツナはその事実を知らないようだったので、余計な心配をさせまいと言い出さなかったがさらに腹が立つことがおきる。
「誕生日おめでとーな、獄寺」
今日の学校でまでとは打って変わっての態度に訳がわからずただ眉間にしわを寄せる獄寺。
「じゃぁみんなそろったし、ケーキ準備しない、ツナくん」
ハラハラと二人を見ていたツナに京子が提案する。
同意したツナが奈々と京子とハルがつくってくれたケーキを並べてキャンドルに火とつける。
ツナに火を消してくれといわれれば、恥ずかしいながらも獄寺がそのとおりにするとパーティーが始まった。
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